なんちゅうブログ書いてるぅ YOU KNOW?

Hello!Projectを中心にアイドルソング、ガールズポップ、J-POPについての感想など書きます。

アンジュルム今さらの風林火山感想と新曲「マナーモード/キソクタダシクウツクシク/君だけじゃないさ…friends」について

11月11日中野サンプラザでのコンサート、『「Black&White」 special~風林火山~』観ましたけど、とても「攻めた」内容で良かったです。
アンジュルムの基本型を踏まえつつ、前半にダークな世界観の曲を固めたことで、今までとは一味違う深みのあるムードを作れていたのがなにより素晴らしかったですね。
あとやはり個人的に高まったのは終盤での『地球は今日も愛を育む』ですかね!
そのひとつ前の曲がドンデンガエシで、普通その流れでいけば次もアップテンポの盛り上がる曲を続けるであろうところで、あえてそうはせずに『地球は今日も愛を育む』という非常にクールで淡々とした、独特の世界観を持った曲をやるという。
そこに「安易なところに絶対に留まってやるもんか」とか「他とは違うグループ像を提示してやるんだ」というような、志の高さと攻めの姿勢をビンビンに感じて痺れました。本当にかっこ良かった!
ここで有頂天LOVEとかスキちゃんとかやればそりゃみんなハッピーでしょうし盛り上がるでしょうよ。でもでもでも!そういうところに安住してていいのかよ!ってことですよ!
あえて言っちゃうと安易にそこに安住してしまうっていうのは志が低いというか、アンジュルムって素晴らしいメンバーが揃ったグループには相応しくないとさえ思います。もっと高みを目指してほしい!と思うのは僕だけですかね・・・。繰り返し言ってることですけどね。
あとやっぱり言っておかなけゃいけないのは、『地球は今日も愛を育む』って曲自体が本当に素晴らしいということ。つんくさんが本当に良い曲を残してくれました。この曲がスマイレージ時代のラストシングルってところにも特別な意味を感じられずにいられませんでした。
あの瞬間にスマイレージアンジュルムが本当の意味で幸福な融合を果たしたと思っています!

そんな中野サンプラザでのコンサートでも披露された新曲3曲が映像作品としてDVDとBlu-rayでリリースされました。
通常のCDによるリリースとは違う形態での新しい取り組みは単純に新鮮で良いなと思います。
動画配信サイトを使った生放送やVRなど、スマイレージ時代からなにかと最新映像技術を取り入れてきたグループらしい展開だなと思いますし、新しい分野を切り開いていくような、時代の先端を行ってるのでは?というようなワクワク感もあります。
肝心のMV自体の出来は、今までのハロプロMVよりは多少凝った作りになっているかなという所に留まっているきらいもありますが、はじめの一歩としては及第点かなと。次に期待ということで。

それぞれの楽曲ですが、『キソクタダシクウツクシク』はダークでゴシックな雰囲気の荘厳なロックナンバーで、『乙女の逆襲』や『マリオネット37℃』『愛さえあればなんにもいらない』あたりの系譜上にある楽曲。かっこいい。
アンジュルムが築いてきたグループ像からするとこれが王道という気もします。
風林火山の前半にこういうタイプの楽曲を固めてましたし、アンジュルムの得意分野のひとつとしてこれからも提示していこうとしている世界観なのかなと思いました。
アダルトなムードの歌詞ですが、さすが亜伊林さん。(三浦徳子先生の別ペンネーム)とても上品に仕上げてくれました!これがつんくさんだともっと下世話になっちゃうだろうし・・・そういう意味でも良かったです!

『君だけじゃないさ…Friends』は、繊細でありながらもアンジュルムらしい前向きなパワーを感じさせるエモーショナルなナンバー。
聴いてる人を優しく包み込むようなムードが感動的です。
前作の『ナミダイロノケツイ』と同じような路線と言えるのかな?
『ナミダイロノケツイ』はアレンジがちょっと古臭いのでは…。というような苦言を呈したくなるところがあったのですが、この曲ではそのあたりばっちりクリアされていて素晴らしい。
繊細かつ壮大な音響派的アプローチの、高クオリティなアレンジを担当したのは平田祥一郎大先生。ヒラショーに任せとけば間違いない!
あとアレンジとか構成の話しで言えば、サビで2ビートになって疾走感出してくるのがアンジュルムらしくて良いなぁと。
あとあまり指摘されませんがサビの「HEY!」っていう掛け声。あれが青春感というかグループの団結感みたいなのが出ていてグッときてしまうところ。(あそこはヲタクがライブで叫んだら良いと思います。)
星部ショウさんの歌詞とメロディーも良いですね。メロディーは泣きのツボを押しまくりで強度が高い。リーダーのあやちょがグループを引っ張っていってるところを想像して書いたという歌詞も泣けます。アンジュルムへの思い入れを強めてくれるような曲だと思います!
メンバーの歌唱は、中心的に歌っている、かみこちゃんとかわむーのピュア感溢れる歌声がこの曲の誠実さの純度を高めている気がします。そのふたりをサポートするようにしっかりとむろたんが締めているいう感じ。良い歌割りです!

『マナーモード』はポップなロックナンバー。
うーん。ライブ映えしそうだし悪くはないと思いますが・・・。
イントロの、サビメロと同じフレーズを弾いているギターソロの部分を始めとして、どうしてもどこかイナタイというか垢抜けない印象になってしまうのは何故でしょうかね。
確かにポップでキャッチーではあるから間口が広いとも言えるますが無難すぎるという気も・・・。
もっと攻めても良いのになぁと思うんですがね。

まぁしかしなんだかんだで今回のシングルはそれなりの充実作だと思います!
それでもやっぱりもっとできるぞ!という気もするので2018年に期待!

モーニング娘。17「⑮Thank you, too」

現状ハロプロ楽曲制作体制はおおまかに分けて、橋本慎氏をトップに置いたチーム橋本と、つんく氏をトップに置いたチームつんくの2つの体制あるということが分かっています。
いくらつんくさんが素晴らしい才能を持ったクリエイター、プロデューサーだとしても、全てのグループの全楽曲を手掛けるとなると、それぞれの楽曲のクオリティにムラが出来てしまうのは仕方のないところです。モーニング娘。に力をいれてるときは他のユニットの楽曲の出来がイマイチ・・・。だとか、またその逆のことも起きてしまうというような不幸な現象を減らし、常に全グループが高いクオリティの楽曲を享受できるようにするために、つんくプロデュース以外の体制も用意しておくというのはとてもとても正しいと思います。
この体制になってから数年たちましたが、いまのところはなかなか上手く行ってると言っていいのではないでしょうかね。

前述の2つの体制はそれぞれの楽曲を並列に置いておけるシングルでは無理なく共存できるのですが、ことアルバムとなると難しい問題が持ち上がります。
アルバムは、曲順や収録曲をどれにするかなどによって全体のクオリティが決まってくるものなので、どちらの体制のどの曲をどういう順番で並べるか。などをイニシアチブを取ってコーディネートする人物、プロデュースする人物が必要になってくるのかなと思います。
じゃあそれは誰がやるのか、現状誰がやっているのか?
こぶしファクトリーの『辛夷其ノ壱』なら、チームつんく楽曲が一曲もないのでやり易かったと思いますし、なんとなく橋本慎さんが仕切っていたんであろうことが想像できます。しかしモーニング娘。のように、チームつんくとチーム橋本楽曲がそれぞれあるようなグループはどうするのか。℃-uteやjuice=juiceのアルバムではどうしていたのか・・・。

今回のモーニング娘。の新しいアルバムは。ボーナストラックの愛の種をのぞく全14曲中チームつんく楽曲が11曲+過去のつんくプロデュース楽曲1曲、チーム橋本楽曲は2017年リリースのシングル楽曲の2曲。とつんく色がかなり強い内容になっています。

ここまでくればアルバム全体のプロデュースもつんくさんなのでは?と思いスタッフクレジットを確認しましたが、そのような記述は確認できませんでした。
アルバム全体の制作体制がどうなっているのかは謎のままですが、今回の収録曲がほぼすべてチームつんく楽曲という割りきった判断は、アルバム全体に一本筋を通したまとまりのある物にするためには賢明な判断と言えると思います。
余計なノイズになるものがあまりなく、全体を通してすんなりと聴けて良かったです。
モーニング娘。に関してはこれからもチームつんく楽曲を軸にして、かつてのつんくプロデュース体制に近い形を維持してやっていくという方向性の提示なのかもしれませんね。
割りきった判断といえば、シングル曲も収録されたのは2017年のものだけに留め、全体のボリュームも抑え気味にしました。ここらへんは卒業したメンバーとの兼ね合いみたいなものも少しある気はします。
これからリリースされるであろう他のグループのアルバムでも、今回のようなバランス感覚を持って作って頂けたらと思います!

肝心の内容ですが、ここ数年つんくさんが押し進めてきたEDM路線の流れを継続したものになっています。
全体のトーンはクールというか抑え気味で、『青春小僧は泣いている』のようなぶっ飛んだ曲がないので少し物足りないような気もしなくもないですが、大久保薫平田祥一郎、両氏がアレンジを手掛けたの熱量の高いエレクトロサウンドの楽曲はどれも高クオリティで聞き応えたっぷり。

地を這うようなベースリフが鮮烈なフックになりながら、全体のミニマルでクールなトーンが最高にかっこいい『CHO DAI』
同フレーズの繰り返しとハウス的なビートでダンスミュージックとしての機能性を高めつつも、どう聞いてもつんく楽曲!な個性を打ち出す『私のなんにもわかっちゃいない』
少しアダルトなムードのデジタルなジャズファンク『Style of my love』(飯窪、小田、牧野のユニットは初期タンポポを思わせる説得力ある組み合わせで素晴らしい!飯窪さんちゃんと歌える!)
切迫感溢れるトランス風ナンバーにアイドルソングらしいフックを散りばめた『ナルシスかまってちゃん協奏曲第5番』
あたりが個人的には好きです!

あと個人的にグッときたのは『青春Say A-HA』→『若いんだし!』の流れですね。
この2曲は10代という難しい時期を芸能活動に捧げるアイドルたちへの的確な批評眼と、そこだけに留まらない温かい視線を感じます。
『青春Say A-HA』のサビの歌詞が凄い。
【「コソコソ恋愛」ってな なんか燃えるけど バレなけゃ良いってな そんな意味でもない ひとつ選ぶのって なんか難しい こんなのこんなのこんなのは 青春なんかじゃない】
【「堂々恋愛」ってな なんか素敵でも 他人にとっては 迷惑なんかもね まっすぐ生きるって なんか難しい そんでもそんでもそんでもね なんか眩しい】
どうだこれ!こぶしファクトリーのヲタとしては具体的な人物が思い浮かんでしまうところですが・・・。そんなことを抜きにしてもとても良く出来た、それでいて色々と考えさせられる歌詞に唸ってしまいました。深い!
そんな歌詞からの流れで10代の迷いや、違う道へと向かう決断を温かく祝福するような『若いんだし!』を聴いたら泣くしかない!
んー。やっぱりつんくさんはアイドルソングの作り手として一段高いレベルにいると改めて実感!

アンジュルム秋ツアーセットリスト不評問題から考えたこと。


アンジュルム『出すぎた杭は打たれない』(ANGERME[TheNailThatSticksOutTooMuchDoesNotGetHammeredDown])(Promotion Edit)

 

PefumeとBABYMETALという、アイドルという枠を超えて一段高いステージに上がったアーティストへと成長したふたつのユニットに共通しているのは、楽曲の音楽的ジャンル、振り付け、MVやアートワークといったビジュアルに至るまで、一貫したコンセプトを高い質で貫き続けているということでしょう。

なぜ一貫したコンセプトを貫き続けるとそうなれるかは置いておいて、客観的な事実としてそういったことがあるのです。(もちろんアミューズという超大手の事務所だからこそのアドバンテージというのも当然あると思いますが・・・。)

最近ブレイクした欅坂46も「社会や大人へ反発する若者」というコンセプトをデビューから(とりあえず今ままでは)貫いているように見えます。

ハロプロで考えてみても、モーニング娘。が「再ブレイクか?」というところまで勢いづいていた頃は、EDMとフォーメーションダンスというぶれない一貫性がありました。

最近のハロプロ楽曲やユニットを見るときに自分は「一貫したコンセプト、それによるグループごとの独自性がきちんと表現できているか」という視点を持つようになりました。

自分がこぶしファクトリー楽曲が素晴らしいなと思うのは、ロックを中心とした生演奏バンド要素が濃い音楽的な方向性。和な物や日本の伝統的な要素を歌詞や振り付けなどに取り入れる。こぶしを効かせた歌唱法を多用する。というぶれない一貫したコンセプトをデビュー以来保ち続けていることです。そういう流れがあるからこそジャンル的には自分は苦手な部類だったフォークソング風の辛夷の花がすんなり受け入れられたというところはあるんだと思います。(そういうことを抜きにしても伝わる力が辛夷の花にはあります!)

 

さてこのブログの本題であるアンジュルムの場合はどうでしょうか。シングル曲の音楽的なジャンルでいえば、ファンク、メタル、EDMとバラバラですが、「攻撃的で反骨心がある」という雰囲気は大器晩成以降しばらくは一貫して保ち続けていたように思います。そしてそんな攻撃的な雰囲気が、前身であるスマイレージにも今までのハロプロユニットにもないグループの色になりかけていました。

しかしそれがブレつつあるんじゃないかという危惧を自分が抱き始めたのは、糸島Distance、忘れてあげるという、保守的なグループに見られかねない歌謡曲的な楽曲をシングルの表題曲にしたときでした。

二曲とも曲の出来は悪くないのですが、今まで積み重ねて築きあげてきたもの、グループの独自性、個性、「攻撃的なアンジュルム」というイメージを後退させかねないタイプの楽曲だと思ったのです。

そして最新シングルの『愛さえあればなんにもいらない/ナミダイロノケツイ/魔女っ子メグちゃん

この三曲のどれにも「攻撃的なアンジュルム」を見つけ出すことができませんでした。後退してしまったのか・・・。

『愛さえあればなんいもいらない』は全体の音楽的な方向性、アレンジは非常に重厚な物を目指しているのに、歌唱と歌詞が軽い印象が強く、結果的に非常に残念な、中途半端さが目立つ楽曲になってしまっていると思います。

特に歌詞はありがちな深みのないラブソングに聞こえてしまっています。アンジュルムが築いてきたグループの色を考えるとこれは合わない。

メンバーの歌唱については、ディレクションかキーの設定が失敗してるのでしょう。

『ナミダイロノケツイ』も歌詞に込められた意味を考えると、とても感動的な曲なので悪くは言いたくないのですが、80年代、90年代前半のJ-POPを彷彿とされるアレンジがアンジュルムの色にあっていない、保守的に見られかねないような印象にしてしまっていると思います。もっと現在のシーンの真ん中、先端を行くようなアレンジだったら、例えばモーニング娘。のThe Visionのようなアレンジだったら、シングルの表題曲としてありだったかもしれません。

魔女っ子メグちゃん』はイベントとのタイアップ曲なので文句は言いません。「ふたつの胸のふくらみは」という刺激的な歌詞を最年少メンバーが歌うというところがあることで、三曲の中でこの曲が一番攻めた印象になってしまってるのが皮肉に思えます。

このように今「攻撃的なアンジュルム」というムード、グループの独自性は崩壊の危機をむかえている。と言ってみたくなってきているのが個人的現状です。

自分はアンジュルムになってから、大器晩成以降築きあげてきた「攻撃的なアンジュルム」というものを貫いてほしいと思っています。アンジュルムに今までのハロプロにも、アイドルシーンにもいなかったタイプのグループになってほしいのです。

PerfumeやBABYMETAのように一貫したコンセプトを保ち続けて一段高いステージを目指してほしいのです。

 

最近のアンジュルムファンの話題といえば秋のライブツアーのセットリストでしょう。

これが自分が知る限りとても不評です。曲数が少ないのが一番の不評の原因なのでしょうが、それと同じくらいの原因としてスマイレージ時代の曲が少ないというのがありそうです。

最近のアンジュルムのライブのセットリストを語るときにどれだけスマイレージ時代の曲をやったか。が話題に上ることが多いように思います。そしてそれは「スマイレージ時代の曲が多ければ良いセトリ、少なければダメなセトリ」という風潮につながってきているように感じています。

自分もスマイレージの曲はどれも好きですし、やってくれたらうれしいのは間違いないのですが、それと同時にアンジュルムになってから築きあげてきたものを大事にしてほしいとも思うのです。

ライブにおける安易なスマイレージ楽曲の連発はアンジュルムというグループの色、独自性を見えにくくし、壊しかねないと思うのです。

だから前出の風潮に少し違和感を感じてしまいます。

しかしまったくスマイレージ時代の楽曲をやらないというのも無理がありますし、寂しいのでやってもいいと思いますが、どの楽曲をどこに組み込むかは熟慮が必要だと思います。アンジュルムになってからのグループの色を壊さない、整合性がきちんと取れたものを選ばなくてはいけないでしょう。

これから作るであろう新しい楽曲をどのような曲にするか、ライブのセットリストをどするのか、アンジュルムというグループの方向性をどう持っていくのか・・・。すべての面でいまもう一度立ち止まって考えるタイミングにきていると感じます。

ロックインジャパンフェスへの出演、蒼井優の「アンジュルム好き」表明・・・。機運が高まってきている今だからこそ!

アンジュルムが今までにない新しい存在感を身に着けたアイドルになるのか、アイドルという枠をこえた一段高いステージにたつアイドルになるのか、それとも「何でもあり」の今までのハロプロのグループとかわらないグループになってしまうのか・・・。

今その分かれ道にたっているといったら大げさでしょうか。

 

 

 

 

つばきファクトリー『就活センセーション/笑って/ハナモヨウ』


つばきファクトリー『就活センセーション』(Camellia Factory[Job hunting sensation])(Promotion Edit)


つばきファクトリー『笑って』(Camellia Factory[Smile])(Promotion Edit)

 

「優等生」「真面目」という言葉が、面白味がないだとか無個性な存在だとかいう、ネガティブな意味合いで使われるというシチュエーションが我々の日常生活の中では往々にしてあるものです。本来は良い意味で使われるべきなのですが。

ことアイドルにおいても、それらの言葉はあまり褒め言葉として使われることは少ないように思います。特に最近は個人のキャラクターでも、グループのコンセプトでも、楽曲でも、どれだけ型破りなことができるかの競い合い。みたいな状況が強く存在してるように思いますし・・・。(揺り戻しのような流れも最近は勢い増してきたかな?)

しかしそんな状況の中で「優等生」「真面目」というキャラクターも使いようによってはアイドルにとって強烈な武器になるということを、つばきファクトリーの2ndシングルの曲たちが示しています。

特に『就活センセーション』はなかなかのものです。

リクルートスーツ姿で企業に対して忠誠を誓うような歌詞と振り付け。TVでこの曲が披露された後のツイートを掘ってみたのですが、見る人によっては激烈に嫌悪感を示すくらいに、ブラック企業や日本人の働き方問題が取り立たされるこのご時勢ではインパクトがあったようで・・・。(まぁこの曲を作った中島卓偉氏にも、製作スタッフの皆さんにもそんな社会問題に訴えていこうというような意図はなく、単純な就活生への応援歌くらいの感じだったとは思いますけど。)

そもそも今回の就活というコンセプト、仕掛けは、つばきファクトリーが持たれている「真面目」「優等生」というイメージを逆手に取ったアイデアではないでしょうか。

真面目で優等生というイメージを保ったまま、とてもインパクトのある攻めた楽曲、パフォーマンスを作り上げられたというのは何気に凄いことじゃないですかね。真面目で優等生で何が悪い。

もちろんインパクトがあれば何でもいいというわけではないでしょう。この曲だって激烈な嫌悪感を抱いた人が出たくらいですから。でもひとまずは褒めたい気持ちのほうが優勢ですね。

曲自体はクールなファンクナンバーでなかなかかっこいい。きしもんの終盤のフェイクもいいですね!

 

そして一方『笑って』は、真面目で優等生という自分たちが持たれてるイメージに対しての複雑な心境を歌ったかのようなナンバー。『就活センセーション』とは違う角度で自分たちの個性に向きあった曲になってます。

この曲好きです!洗練されててポップで、自分がつばきファクトリーにやってほしかった曲ってこんなの!って感じです。

作詞作曲は津野米咲。ポップでキャッチーでありながら、そこはかとない切なさを絶妙にブレンドさせたメロディーが良くできてます!歌詞も良いですね。ヒラショーアレンジも派手さはないけどおしゃれで最高です。

あと2番サビのあんみぃソロがかわいいですね。

この曲もつばきファクトリーが真面目で優等生だからこそ生まれた名曲なわけで、やっぱり真面目で優等生でいい子なのは悪くない!

 

さらにもうひとつの『ハナモヨウ』は、好評だった『初恋サンライズ』の流れを汲んだアップテンポなマイナー調ダンスナンバー。

初恋サンライズより、80年代アイドル歌謡感と哀愁を増した雰囲気もまたつばきメンによく合います。

悪くないけど個人的にはこの路線はやっぱりそんなに好きではないかな。

 

 

 

 

それぞれの道。 嗣永桃子『ありがとう おとももち』& PINK CRES.『crescendo』


ももちこと嗣永桃子さんが2017年6月30日をもってハロー!プロジェクトを卒業及び芸能界を引退しました。
ラストコンサートが終了した瞬間、ももちが小指を折り畳んでステージからいなくなった瞬間、自分でも信じられないくらい号泣してしまいまして・・・。
改めて自分にとって特別な存在だったのだと強く思った次第です。
知らない人もいると思いますが、かつて私はももちにガチ恋していたと言っても差し支えないくらいにファンだった時期があったのです!
ももちの愛らしい容姿と心の根底にあるピュアネス。それが基盤となった理想のアイドル像。その理想が周囲から理解されなかったり、間違った認識をされていたというような場面で見せてくれた隠しきれない心の揺らぎやほころび。平成の松田聖子になりたいという壮大な夢を何のてらいもなく語ってくれたところ。その全てが可愛らしく愛しかったですねぇ・・・。
そして何より握手会で真剣に想いを伝えたらきちんとその想いに答えてくれるような反応をくれたところですかね。自分がももちのことを好きだった時代は今みたいに握手会が頻繁には行われていなかったので、自分も1回1回の握手に対して真剣勝負!誠実な態度でのぞめていたと思います。あの時代は自分もヲタクとしてピュアだった!
ほんとに大切な思い出がたくさんあります。ももちありがとう!

そんなももちの卒業を記念したソロアルバム 『ありがとうおとももち』がラストコンサートの前々日に豪華3枚組でリリースされました。
Disc1はももち自身が選曲した楽曲のソロカバー集。
1曲目の『がんばっちゃえ』
この曲にはハロプロキッズたちのコーラスというかガヤが当時のオリジナルのまま収録されています。
成長した大人ももちとオリジナルリリース当時のキッズももちの時空を越えた本人同士の共演になんともいえない感動を覚えます。
よくよく考えれば、大人になったかつてのハロプロキッズたちが『がんばっちゃえ』を歌う機会は何度かあったんですよね。その度にこの時空を越えた本人たち同士の共演が実現していたという重大な事実があったことに今さらながら気づきました。
残っている映像を改めて見直してみたくなりましたね。
この時空をこえた本人同士の共演は『恋はひっぱりだこ』でも実現しています!
その他で注目は『もしも…』ですかね。
台詞のどれもがももちらしさを発揮していて最高ですが、特に「全部許しちゃうんだなぁ 」がかわいさ100万点をたたきだしていると思います!
カバーの他に新曲が1曲。つんく♂が書き下ろした、ストレートなロッカバラート風卒業ソング『ももち!ずっとおとももち』
℃-uteのTo Tomorrowもそうですが、適度に肩の力の抜けた軽やかな雰囲気がかえってグッとくる。良いですね。
すべての曲で成長したももちの美声が余すところなく堪能できる、歌手ももちの集大成的な1枚。
歌手ももちが好きな人たちにとって家宝となることでしょう!

Disc2はカントリーガールズ初音源化楽曲を集めた1枚。
正直言えばカントリーガールズはカントリーガールズとして独立した形でアルバムを作るべきだと思うので、こういう形になってしまったのは少し残念ではあります。
最初からカントリーガールズはももちありきのグループだったというのが事務所の考えであるということがこういう所からも読み取れますね。
しかしながらここに収録されている楽曲たちに罪はありません。粒ぞろいの良曲揃いでとても楽しめます!
まず冒頭2曲、残るカントリーガールズメンバーからももちへ贈るメッセージ台詞からサビメロへ。という構成の卒業送り出しソング『アイドル卒業注意事項』『明日からはおもかげ』が泣ける!
『アイドル卒業注意事項』は卒業式での在校生送辞風。
笑いの要素がかなり強くお涙頂戴的な雰囲気は微塵もないのになぜか最終的には笑いながら泣けてくるという代物。
台詞部分の「ももちいじり」がよく練られていて愛を感じさせてくれるのが素晴らしいです。
カントリーガールズメンバー自身がリコーダーやピアニカ、アコーディオン、タンバリンの演奏で参加している、オケの暖かみのある手作り感もまた良い!
一方の『明日からはおもかげ』は大々的にではなくひっそりと手渡す手紙。といった素朴な佇まい。
心にじわっと染みてくる切なさがとても良いですね。
あと注目はなんといってもラストに収録されているミッツ・マングローブ作詞作曲の『気ままな片想い』これがまさかの名曲!
ロネッツのBe My Babyを下敷きにした、しっとりとおしゃれかわいい1曲。ハロプロの系譜でいえば二期タンポポテイスト。ももちのリラックスした雰囲気の大人かわいい歌声がよく映えます。
大瀧詠一テイストなアレンジは高橋諭一氏。外さない!カントリーガールズの残るメンバーたちに、これからも歌い継いでいってほしいものです。
その他はライブではお馴染みになっていた楽曲の音源化。どれも粒ぞろいで良いのですが、特に好きなのはメロディーの強度が高い、作詞 児玉雨子、作曲編曲 加藤祐介によるアップテンポなカントリーウエスタン風『VIVA!!薔薇色の人生』ですかね。
間奏、ディズニーエレクトリックパレード風にガラッと場面が変わるところの、同じフレーズを繰り返していながら、音色を変えることでハッとさせる所なんか最高です。
あと歌詞の「懐古 革新 大賛成 私たち最高です」という部分がカントリーガールズというグループの魅力、存在意義を端的に伝えていて良いですね。カントリーガールズアンセムな1曲だと思います。

Disc3はファンの投票によって選ばれた楽曲のオリジナル音源が納められた嗣永桃子ベスト。
ももち自身が選曲したDisc1と曲被りが多いというところがポイント。
ファンとももちの思い入れが重なっていたんだという事実に感動しちゃいます。
気持ち通じあっていたんだなぁ(泣)


引退するという道を選んだももちに対し、かたや新グループを結成しアーティスト活動を続けるという道を選択したのは 、同じく元Berryz工房夏焼雅ちゃん。
その新グループ、PINK CRES.のデビューアルバム『crescendo』がももちのラストアルバムと同日に発売されました。
これが非常に充実した内容!
楽曲派ハロヲタなら必聴の1枚だと思いますよ!
アレンジがテイラー・スウィフトのShake it offを意識したかのような軽快でガーリーなポップ『fun fun fun』、ドラムンベース、リキッドファンク風なトラックに乗せて切ない恋心を歌った『ウワノソラ』、アメリカンパワーポップ風のアップテンポ『キレイ・カワイ・ミライ』、シンセサウンドなかに突如現れるアコースティックな温もりある音色が切なさを盛り上げるミドルテンポのバラード『片隅』、90年代の小室哲哉プロデュース楽曲を彷彿とさせるダンスチューン『Summer wonderland』あたりが特に良いですね。
おっさんダミ声コーラスが入ってくるあたりがつんく♂ワークスを思い起こさせずにいられないハードなEDM『Warning~未来警報~』まで収録する抜かりなさ(笑)
どの曲もサウンド的に今の時代のど真ん中を行くものと言って差し支えない、おしゃれなFMラジオ番組でかかっていてもおかしくないものになっていると思います。
そしてなにより雅ちゃんくらいの子の年相応の等身大な女子感をきちんと洗練された形で表現できているというのが良いですね。
大人になるということに対して、セクシー路線か地味で渋いものしか提示できなかったアップフロントがこんなに的確なディレクションができるようになるとは。
当たり前のことが当たり前にできるようになりました。時代は変わった!
パワフルな歌声が魅力な二瓶有加さん、揺るふわラップが破壊力のある小林ひかるさんと、雅ちゃん以外のメンバーふたりも個性をいきなり発揮できていて頼もしい限りです。良いグループだと思います!

PINK CRES.成功して欲しい!

こぶしファクトリー『シャララ!やれるはずさ/エエジャナイカ ニンジャナイカ』

℃-uteアンジュルムの例を持ち出すまでもなく、それなりの期間活動を続けていれば、どんなグループにも浮き沈みというものはあるものです。良い時期もあれば悪い時期もある。

デビューしてから順調すぎるくらい順調だったこぶしファクトリーは、今年春のライブツアーで初めて試練らしい試練にぶち当たりました。
相次ぐメンバーの体調不良で8人全員が揃わないという公演も多かったですし、何より藤井梨央ちゃんの卒業がツアー中に発表になるというとても大きな出来事がありました。
Progressive」というツアータイトル通りに、こぶしファクトリーの進化した姿をきっちり見せつけられた!広くアピールできた!というようなポジティブなムードにはなりづらかったというのが正直なところだと思います。

自ら「私はこぶしファクトリーのコメディエンヌ」と評していた通り、藤井梨央ちゃんは、こぶしファクトリーコメディリリーフ的な役割を一手に引き受けていたメンバーです。
『ドスコイ!ケンキョにダイタン』『押忍!こぶし魂』『バッチ来い!青春』の間奏でのコミカルな演技パート全てで彼女が活躍していました。
そういった定型的な場面以外でも発揮される彼女の明るさと「おふざけ」は、単に暑苦しく激しいだけではない、こぶしファクトリーのどこかコミカルでわちゃわちゃとした楽しく賑やかな雰囲気に深く寄与していました。
こぶしファクトリーこぶしファクトリーらしさ、独自性というのは藤井梨央(と悪ガキコンビの盟友田口夏実)がいたからこそ育まれたものだと思います。
非常に重要なメンバーなのです。
そんなメンバーがいなくなるのはこぶしファクトリーのグループとしての方向性を根本から揺るがすと言っても過言ではないくらいの出来事。
果たしてこぶしファクトリーは今後どうなってしまうのか・・・。
そんな不安のひとつやふたつ言いたくなってしまうところなのですがしかし、そんな状況の中でこぶしファクトリーに与えられたニューシングル『シャララ!やれるはずさ』はそんな不安を吹き飛ばしてしまうかのような前向きなパワーを持った曲でした。

その『シャララ!やれるはずさ』は、ギミックなしのストレートな切迫感溢れるパンクナンバー。
こぶしファクトリー楽曲に欠かせない青春感あふれるシンガロング風コーラスが今回も胸に迫ります。
これからのライブで定番になりそうなアンセム感もありますね。
青春時代の焦燥感を描きつつ、今のこぶしファクトリーの状況をしっかり踏まえた上で、綺麗事にならない、厳しくも愛のある激励になっているかのような部分もある歌詞も感動的です。

なんとなくネガティブにならざるおえないような状況の中で、そういう雰囲気を加速させてしまうような曲ではなく、まだまだ大丈夫だと前向きになれるような楽曲をもらったというのはこぶしファクトリーのメンバーにとっても、ファンにとってもすごくラッキーなことなのではないでしょうか。
もちろん藤丼がいなくなってしまうのはとても悲しいのですが・・・。
でもこれから別の道を歩んで行くことなる藤丼にとってもこの曲は応援歌になってるような気もするので、ほんとにこの曲で良かったなというのは凄く思いますね。

両A面のもう一方『エエジャナイカ ニンジャナイカ』は、昭和のコミックソングを思わせるような楽しい楽曲。
お馴染みの、こぶしを効かせた歌唱や演歌的ニュアンスを入れつつ、この曲では全体的にかわいらしさを強調した歌唱になってると思います。
なにげにこぶしファクトリー初のかわいい系シングルではないでしょうか。
好きですね。

SP盤に収録の『闇に抜け駆け』もカッコいい。この曲はパート割りがいいですね。

とにかくみんなが悔いなく9月2日を迎えられますように!

「完璧じゃないからこそ色褪せない」℃-ute楽曲大賞2006~2017


1位 アイアンハート

爽快で少しアメリカンな匂いのするパワーポップというかロックナンバーで気持ちいい。好きでよく聞いていました。
しかし何よりこの曲を強く推したいのは歌詞のとある1フレーズが理由です。

「険しい日々ほど 忘れない 完璧じゃないからこそ 色褪せない 全ては無駄じゃない」

紆余曲折ありまくりの℃-uteの長い活動期間を振り返ろうとしたとき、このフレーズがとても感動的に響いてきます。
なにもかも順調に行っていたらたどり着けなかった境地へとたどり着けたということ。だからこそ今の幸せな状況があるのだということ。そのことの重みを感じさせてくれるフレーズだと思います。
あとアイドルという存在は完璧じゃないからこそ魅力的なパフォーマーである。ということもちょっと示唆してる感じもあって、それをキャリアを重ねた℃-uteメンバーが歌っているのも良いですね。
この曲(と我武者LIFE)でもって今までの℃-uteの活動を幸せに「総括」できたことはほんとによかったと思います。(SHOCK EYE氏は良い仕事したかと!)
℃-uteの活動を振り返るという今回の企画の趣旨のひとつを考えれば、この曲が一位に相応しいのかなと思いました。


2位 愛ってもっと斬新

この曲の音楽的強度の高さはもう少し評価されても良いかなと思います。
Kiss me 愛してる』以降のアダルトで激しいダンスナンバー路線の最高傑作かと。
アーバンな雰囲気とロック的ダイナミズムが違和感なく絶妙にブレンドされたアレンジがまずかっこよすぎる。平田祥一郎氏やっぱりすごい。
構成や音の配置なども余計な贅肉がなく引き締まっていてスタイリッシュ!
あとやっぱり、手癖感がまったくない、工夫を感じさせるつんく♂のメロディーも良くできていますね。
サビメロの休符(ブレイク)と3連符を組み合わせた、それこそ「斬新」さには舌を巻きます。
歌詞も悪くない。
俺が推さなけゃ誰が推す!で2位浮上です!


3位 Danceでバコーン!

℃-uteと言ったらこの曲。って感じありますよね。リリース当時あった閉塞感を完全に取り払った勢いとパワーは、今聞いても感じることができます。
こういう破れかぶれとも思える勢いのある曲やっぱり自分好きですね。


4位 大きな愛でもてなして

言わずと知れた超名曲なのでもう語ることないですよ。
過去の自分の記事にこの曲のことについて書いてあるものがあるので読んで頂ければとおもいます。


ちなみにこの曲の「神聖なるVer」も実は好きです。


5位 EVERYDAY YEAH!片想い

ひたすらかわいい曲なのになぜか胸を締め付けるような切なさがある系楽曲の最高峰のひとつ。
この曲を聞くと、BOOK・OFFで投げ売りされてる萩原舞in八丈島のDVDを回収したくなるし、文春に変な写真を撮られてもまいまいさんの幸せを願わずにはいられなくなります。
芸能活動からは身を引くということですが、萩原舞さんどうかお幸せに!


まだちょっと早いけど℃-uteのみなさん。本当に本当に長い間お疲れ様でした!


次点であげておきたい楽曲たち。
タイムカプセル、桜チラリ、One's LIFE 、Bye Bye Bye!、君の戦法、Kiss me 愛してる、あったかい腕で包んで、悲しきヘブン、我武者LIFE、次の角を曲がれ、人生はSTEP、ありがとう~無限のエール~(tofubeats remix)