なんちゅうブログ書いてるぅ YOU KNOW?

Hello!Projectを中心にアイドルソング、ガールズポップ、J-POPについての感想など書きます。

そしてプラチナ期モーニング娘。の領域へ。転換点での高い完成度。=LOVE『あの子コンプレックス』いつもより速攻レビュー。

いつもならカップリング曲のMVがすべて出揃った段階でレビューを書いてたんですが、運良くコンサートツアーの渋谷夜公演での初披露の場に、しかも双眼鏡がいらない前目の席で立ち会えまして、その時の気持ちの昂りが冷めないうちにレビューを書いてしまおうと思い、今こうしてスマホをポチポチしている次第であります。
イコラブファンならお分かりでしょうが、休養していた時期を除いて、これまでの=LOVEシングルの表題曲すべてでセンターを勤めていたひとみんこと髙松瞳ちゃんが、今回の曲からはセンターを降板するという発表が事前になされていました。
これはグループの根底を覆すくらいのビッグなニュースですよね。
ひとみんの気持ちの問題という面が大きいにせよセンターが交代する、妹グループがもうひとつ増え、結成5周年を迎え、シングルも10枚目というひとつの大きな節目の「次」というタイミング。=LOVEが新たな方向に舵を切る大きな転換点になるぞ。という予感を感じずにはいられず、今回の初披露に対して自分としてはいつもよりも身構えてしまっていた訳ですが。
いやなんというか、コンサートの初披露が本当に初披露か?というくらいに、堂々とした胸を打つパフォーマンスで圧倒されてしまいました。
こちら側の今回のシングルに対する向き合い方の気合いに対して、それを上回る気合いでうっちゃるような強さがあったというか。
イコラブメンバーにもいつもよりエモーショナルにならざるを得ないところがあったことは想像に難くないところでしょう。とにかく感動しましたね。
曲調は非常にシリアスなムードを纏っている、とにかく歌で聴かせるタイプの楽曲で、イコラブメンバーの歌唱力、表現力の高さが存分に活きる曲だと思いました。イコラブのこれまでの楽曲でいえば『ズルいよ ズルいね』や『虹の素』の系譜の曲です。
個人的にはプラチナ期モーニング娘。の『しょうがない夢追い人』や『なんちゃって恋愛』あたりを思い起こしたりしたんですが、高スキル高パフォーマンス集団として成らしたプラチナ期モーニング娘。の領域にイコラブも足を踏み入れてるなとも真剣に思いましたね。

アイドルの「成長」ということを、どのように見せていくかということは、キャリアを重ねたグループの課題としてあるわけですが、その正統なやり方はやはりパフォーマンス力やスキルの高さを全面に打ち出していくというやり方ではないかと自分は思っています。
アイドルのひとつの売りとして「フレッシュさ」という物がありますが、やはりキャリアを重ねていくとそこでの勝負は辛くなってくるわけで。
卒業と加入を繰り返してメンバーを入れ替えるシステムを取らないならなおさらです。
ならイコラブが今後、よりパフォーマンス力の高さを売りにしていくという方向性があってもいいんじゃないかと、『あの子コンプレックス』を聴いていると思いますね。これまでやっていた事との整合性がきちんと取れてることが条件ですけど。

楽曲のもっと細かいところや歌詞、MVについて話を移しましょう。

曲調は前述したようにシリアスなムードの、マイナー調の歌謡曲テイストが強い曲になっています。
とはいえ、そこまでのコテコテ感もなく、洗練されたムードもあり、ギリギリ古臭くはなっていないところが絶妙ですね。
やりすぎない、程よい所にあえて留まっているかのような上品なアレンジと、イントロやサビ終わり、Dメロ終盤のコード進行とメロディの一工夫が良いですね。
歌詞は今回も素晴らしい。指原Pはなぜか失恋ソングだと筆がいつもより詩的に冴え渡りますね。
今回の歌詞は正確には失恋ソングというより、ひとつの恋愛の終わりを予感している女性の、付き合っている相手への気持ちが冷めていく過程と、もうこの恋は昔みたいに純粋なものには戻らないという切なさと、それでもたちきれない未練を歌っている曲ではないかと。

【冬までの粉雪は 汚れた雨に変わってた】

冒頭のワンフレーズで、恋の始まりのころは真っ白で綺麗な粉雪のように純粋だった恋心が、時間の経過とともに、以前とは違う汚れた雨のような純粋な物ではなく、不安や相手への不信が心を占めるようになってしまっていた。という主人公の恋の状況と心境を詩的に、そして簡潔に描写する手腕がお見事です。
そして恋を雪に比喩した歌詞と呼応するように「白」をキーポイントの色として配置したMVが、楽曲の世界観により深みを持たせます。



硝子を隔てた向こう側で、傘の中で彼と寄り添う、カフェで微笑んでいるもうひとりの自分(今回のシングルのセンターの佐々木舞香ちゃん)が着ている服の色は何色か?
それは粉雪のような「白」つまり彼女が見ているのは、かつてのまだ純粋に相手を想っていた幸せな時期=白い粉雪のようだったころの自分の幻影なのです。
MVと楽曲は別物ではなく、お互いに補完しあってひとつの一貫した世界観を作り上げるものだとしたら、今回のMVは100点に近いのでは?
『あの子コンプレックス』はトータルの完成度はとても高いと思いますね。衣装ふくめ。
カップリング曲も、そしてこれからのイコラブが本当に楽しみになりました!