イケてるぜイコラブ!軽やかに多様性を賛美する!=LOVE『Be Selfish』レビュー
リーダーの山本杏奈ちゃんがTWICEの曲を「踊ってみた」してるのを見て思いついたことなんですが、なんとなく状況的に今のイコラブはITZY、NiziUと妹分グループが出来て、それまでのかわいい路線から大人っぽい本格派な路線に舵を切ったTWICEと似てるなと。
そういえば、前作『あの子コンプレックス』は、これまでになくシリアスで、ぐっと大人っぽい雰囲気を纏った楽曲で、キャリアを重ね、妹分グループも増えたイコラブの次のステップへの移行というもの意識させるような曲でした。
なのでイコラブの今後進むべき方向性のロールモデルになるのはTWICEかもしれない…と思っていたところにやって来たのが、K-POP風な11枚目シングルの『Be Selfish』です。
初聴で「TWICEっぽい!」と思いましたね。まぁ最近のTWICEというよりは、路線転換する前のTWICEなんですが(笑)
軽やかでポップなK-POP風のダンスナンバーというのは、『What you! What you!』や『ウィークエンドシトロン』など、これまでもイコラブはコンスタントにリリースしていて、取り立てて珍しくもないタイプの曲なのですが、確実に『Be Selfish』は、そこからきちんと次のステップに進んだことを実感させる曲になっているのが素晴らしい。
現代的で社会的に意義のある価値観、メッセージを発信する、時代の先端を行くような、すごく「イケてる」雰囲気を纏ったグループだというイメージを持たれるような打ち出し方に成功していると思うのです。
主にその要因になっているのはやはり歌詞でしょう。
「周りの目なんて気にせずに自分らしくいよう」という大枠のテーマ、メッセージは、これまでのイコラブの楽曲でいえば『いらないツインテール』や『Sweetest girl』あたりと同じなんですが、そこからもう一歩踏み込んで「多様性」を賛美するような内容になっているのです。
【性別なんてさ必要じゃないんだし 誰を想ってても 恋をしてても してなくても 君は君だよ】
性別なんて必要ない。というのはだいぶ踏み込んだなと思います。個人的に性別は必要ないというのは引っ掛かるところもあったりしますが、おそらく言いたいであろうことは、性別による役割の固定化や、「男らしさ」「女らしさ」なんていうものは必要ない。ということでしょう。もっと言えば、自分の性別をあえてどちらかに決定しないというタイプの性自認の人や、LGBTQのQの部分にあたる人たちのことを念頭に置いている歌詞だとも受けとれます。
(そういえば5周年コンサートのときに齊藤なぎさちゃんがMCで「女の子ー!男の子ー!どっちでもない人!」という煽りしていて、多様性に配慮できてて素晴らしい!と思いましたね。彼女が出演したドラマでは、自分の性別をあえて決定しないという選択をしたキャラクターが出ているということもあったのでしょうが、この曲の歌詞が発するメッセージがきちんとメンバーにも伝わっている気がして嬉しくなりました)
【誰を想ってて 恋をしてても してなくても】という部分は、恋愛至上主義的な社会のムードに対して違和感や疎外感を持っている人や、いわゆる無性愛者の人たちへ向けての言葉ではないでしょうか。
こんな感じでありとあらゆる価値観を持った人たちへ射程を広げた上で、
【君のままで生きて欲しい 君のパレット好きな色だけで 普通はこうだってそんな言葉 空の彼方へ投げ捨ててあげる】
と言ってみせます。
上記にあげたようなマイノリティのひとたちだけでなく、いまこの社会で生きづらさを感じているすべての人たちへ、君は君なんだから君の好きなように生きなよ。というメッセージを発しているのです。
しかもこんな歌詞をさらっとさりげなく、軽やかに説教くさくもなくポップに発信できてるから凄い。こんなこと出来てるの日本のアイドルグループでメジャー所ではイコラブくらいじゃないでしょうか。
こうやって社会的に意義のあることを歌うということも大人になるということのひとつ現れだと思いますし、グループの「成長」を見せるということにも成功していると思います。
あとやはり特筆すべきは今回のメンバーのビジュアルでしょう。日本のアイドルグループとしては結構攻めてるかなと思いますが、とても新鮮でいい。
様々なカラフルな髪色とそれぞれの個性を引き立てるな髪型。多様性の大切さを歌っているのに、みんな一律に同じような雰囲気だったら説得力ないですからね。とても良いと思います。
メイクもK-POP風。意思の強さを感じさせるような雰囲気になっていてこれもかっこいいですね。
音楽的なクオリティの高さもしっかりと合格点を上げられますし、『Be Selfish』はイコラブの価値をもっと高めるような曲だと思いますし、そういう意味でも、もっともっとこの曲の良さが広まるといいなと思いますね。
カップリングにも軽くふれておきましょう。
とても淡く切ない雰囲気の恋愛ソング『好きって、言えなかった』
歌い上げすぎない控えめで繊細な歌唱でもすごく感情を高めてくれて、メンバー全員の歌唱力、表現力の高まりを感じさせてくれます。なかでもセンターの野口衣織ちゃんのファルセットが印象的。もともと上手いですが、さらにこの曲で表現の幅を広げた気がしますね。
佐々木舞香ちゃんのソロ曲『真夜中マーメイド』
幅広い層に受けがよさそうな間口の広い、高クオリティなポップナンバー。『あの子コンプレックス』との関連性を深読みしたくなるような歌詞とMVも良いですね。
そして最後は大谷映美里ちゃん&齊藤なぎさちゃんによるユニット曲『わたし、魔法使い』
個人的にこれがカップリングでは一番好き!
おしゃれかわいい!
YUU for YOU氏によるアレンジがセンス良くて本当に好み!
なーたんの高めツインテール最強!みりにゃもかわいいし本当に最高のユニットです!