なんちゅうブログ書いてるぅ YOU KNOW?

Hello!Projectを中心にアイドルソング、ガールズポップ、J-POPについての感想など書きます。

もっと踊れLAZER! 鞘師里保『DAYBREAK』

かつてモーニング娘。の中心的メンバーだった鞘師里保が5年の充電期間を経てついに音楽活動を再開!

モーニング娘。の辞め方が辞め方だっただけに、活動再開したというだけでなんだか奇跡が起きたような気持ちになるし、それだけでもう胸がいっぱいだよって感じなのですが…。

いざ届けられた音楽が本当にどの曲も素晴らしくて、活動再開を最大級に祝福しなくては!という気持ちにさせてくれるのが素晴らしいです。

まずなにより音楽活動再開にあたって、様々な形態、ジャンルが考えられたと思うのですが、ダンスミュージックで「歌って踊る」という形を選択してくれたのがまず良かったなと思います。

モーニング娘。時代から地続きで彼女の成長した姿、アーティストとして新しくパワーアップした姿が見れるというのは、モーニング娘。時代から見てきたファンにとってはなによりの喜びだと思いますしね。

歌って踊るという形の選択含め、今回の音楽活動再開にあたっては、楽曲の製作をクリエイターの人たちと鞘師自身が何度も細かいやりとりをしながら進めたりと、鞘師の意向がかなり強く反映されてるようです。

そのようにしておそらく丁寧に作り上げられた曲たちは、そのかいあってかどれも高クオリティです。

宮野弦土プロデュースの都会的で洗練された雰囲気がかっこいい『Find Me Out』

一聴して驚くのは鞘師の歌声です。モーニング娘。時代の歌声が頭にこびりついた状態で聴くと同じ人なのか?というくらい、その余裕のある太く渋い歌声に良い意味で期待を裏切られます。楽曲の雰囲気と相まって本当にかっこいい!モーニング娘。時代は歌に少し余裕が無かったかなという印象を持っていたので隔世の感ですね。

もちろん鞘師の練習の成果というのがまずはあると思いますが、おそらくこの曲のキー設定が彼女の歌声の一番美味しいところを出せるものになっているんじゃないかと。宮野弦土が作るトラックのかっこよさはさすがなんですが、意図的だったかは別にしてこの曲の最大の勝因はキー設定だと思います!

こういう細かいところがちゃんと噛み合っているというのは本当に大切なことですよね。

ステージに上がることに対する葛藤や決意を歌った、切迫感溢れるダブステップ風のダンスナンバー『BUTAI』、重心の低いヘヴィなファンクナンバー、歌唱も力強い『Simply Me』の2曲もかっこいい。

一転してピースフルな雰囲気の『Pzuule』も良いですね。

今回、鞘師の意向が反映されているということでいえばすべての楽曲の作詞を鞘師自身が手掛けているということがやはり注目ポイントでしょう。 

若くして、というよりまだ子どもだったときからモーニング娘。のエース的な存在として期待を集めていた彼女ですから、心に相当な負担がかかっていたであろうことは想像に難くないわけで、その胸のうちを覗き見るということは、卒業から時間がたっているとはいえ少し怖いという思いも個人的にはあったのですが…。

しかし鞘師はきちんと力強く今は前を向いている。そういう印象を持つような言葉がどの曲にも並んでいました。 

『LAZER』という曲の歌詞が特に感動的です。

【託された夢は強く握りすぎて いつしか壊してしまったけど l KNOW ここからを信じたい 私が知らない私に帰ろう 真っ直ぐに貫いて】

と、おそらくハッピーなことばかりではなかったであろうモーニング娘。時代や活動休止中のことも鞘師なりに折り合いをつけ、乗り越えています。

そして

【変われない Let Me Be Me 抱きしめたいの ここしかない事分かってたの I KNOW もう嘘はつきたくない】

と再びステージに立ちたい、自分の居場所はここだと気づきます。

そして待っているであろうファンに対して

【止まない雨も邪魔できない奇跡起こすから 私がいいと頷いて お願い 届いて 届いて】

と切実に希求します。

そして最後に自分を鼓舞するかのように

【もっと踊れLAZER】

と叫ぶのです。

再びステージに立つということ、ファンと対峙するということ、表現するということに対する鞘師の本当に切実な想いというものが強く伝わってきて胸を打たれます。初めて聴いたときに泣いてしまいました。

それと同時にひとりの輝かしい一流のアーティストの誕生を目の当たりにしたような気持ちにもなりました。

鞘師はナタリーのインタビューでこう語っています。


「今まで私がやってきたパフォーマンスは、心で伝えてきた部分が大きかったと思うんです。私の心が伴うことで初めて私のパフォーマンスになるというか、それがないなら、別に私が踊らなくてもいい。それに、自分を待っていてくださる方々がいることも理解していたので、そういう方々に自分の言葉をしっかり届けられるアーティストになりたいという気持ちがまず前提にあったように思います。」


とても素晴らしい考え方ですよね。もう立派な表現者、アーティストになってるんだなと思います!

鞘師の今後に期待しかない!

グループアイドルの醍醐味を味わい尽くせ! =LOVE『全部、内緒。』

様々な個性を持ったメンバーが複数人集まるグループアイドルと言うのは、多面的な面白味を見せることができるエンタメだと思っています。

基本的な型を持った上で、センターポジションに立つメンバーを変えたり、曲の中で大きくフューチャーされるメンバーに変化をつけたりすることで一味違う新鮮なグループの見せ方を打ち出すといったことや、メンバーを分割してグループ内ユニットのような物を作ったり、特定メンバーにソロ楽曲を歌わせそれぞれの個性をより明確に浮き上がらせるといったことで、多面的な面白味を見せることが出来るのです。

また音楽的な面でいえば、複数人のボーカリストがいるグループアイドルというのは、ボーカリストがひとりしかいない(コーラスを担当するようなメンバーやまれに歌うメンバーなどいれば正確には複数人いるということになるけど・・・)音楽グループにはできないアプローチをすることが出来ますし、それが強みのはずです。

細かく割り振られたパートを全く違う個性の声が歌い、リレーしていくことそれ自体が単純に面白いですし、時には「まさにそれしかない!」というような説得力を持った歌割りが誕生すると、胸に迫るエモーションが生まれたりします。グループアイドルの楽曲を聴く醍醐味ですね。

しかしここまで書いてきたようなグループアイドルだからこその面白味や醍醐味を意識的に、充分に表現できているグループってどれくらいあるんでしょうか?

自分が知りうる範囲では=LOVEが表現出来ていると思います。

そして近頃リリースされた1stアルバム『全部、内緒。』の収録曲でもそれらが表現できているのです。

センターポジションに立つメンバー、楽曲の中で大きくフューチャーされるメンバーを変えることで新鮮なグループの見せ方を打ち出すというところでいえば、音嶋莉沙ちゃんがセンターに抜擢されたモータウン風のおしゃれかわいいポップナンバー『cinema』と、齋藤樹愛羅ちゃんがセンターに抜擢された、ミニマルで近未来的なエレクトロサウンドにキュートなラップが乗ってくるのが楽しい『セノビーインラブ』がそれに当てはまります。


『cinema』のどこかユルフワな雰囲気は音嶋莉沙ちゃんのキャラクターそのまま。メンバーの歌唱も普段よりも良い意味で肩の力が抜けていて違う魅力を見せることに成功しています。

『セノビーインラブ』は子供と大人の中間のような時期にいる齋藤樹愛羅ちゃんの、まさしく「今」しかないキラメキを捕らえようと制作された楽曲。プロデューサーのエゴではなくメンバー本位のアプローチをする姿勢は本当に素晴らしいし信頼できますね。曲そのもののクオリティーも高く個人的にとても好きな曲です。

メンバーを分割してグループ内ユニットを作るというところで言えば、ダンスが得意なメンバーによるK-POP風な本格派ダンスナンバー『24/7』がとても良い。どちらかといえば日本型アイドルの王道を行くような=LOVEが、こういう曲もやれるんだという意外性を発揮しています。コンサートの配信でこの曲のパフォーマンスを見ましたがとてもカッコ良かったです。

ソロ曲も盤違いで2曲収録。

齊藤なぎさちゃんのソロ曲『現役アイドルちゅ~』はキラキラとかわいらしい80年代アイドル風なデフォルメが施された一曲。自己言及的な歌詞は限りなく実像に近いのでは?と思わされる一方、コテコテの王道アイドル感にこれはファンタジーなのだと釘を刺されているようでもあり…とこういう小難しいことを書くのが馬鹿馬鹿しくなるくらいに、齊藤なぎさちゃんの圧倒的なスター性と暴力的なかわいらしさにコテンパンにやられてしまいます。80年代のレジェンドたちと肩を並べているのでは?

もう一方の野口衣織ちゃんのソロ曲『拝啓貴方様』は、椎名林檎を彷彿とさせる、退廃的なムードの女の情念歌謡で『現役アイドルちゅ~』とは真逆の雰囲気。

ダークな世界観の『手遅れcaution』で鬼気迫るパフォーマンスを見せていた彼女の個性をいかんなく発揮できる曲になっています。

まったく違う個性のふたりが、80年代アイドルで例えれば聖子ちゃんと明菜が同じグループにいる。というようなグループアイドルの面白味がこのソロ曲ふたつを並べてみることでわかると思います。

しかしここまで書いてきたこと、=LOVEは今回のアルバムだけではなく今までのシングルのカップリング曲などでずっとやってきたことなんですよね。

リリースのたびに「次はどんな手を打ってくるのか?」というワクワクを提供してくれる。なんて至れり尽くせりなグループなんでしょう。本当に素晴らしい。

もちろん=LOVEの基本型な曲もあります。

リード曲の『桜の咲く音がした』は恋心の芽生えを桜の開花に例えた淡くて切ない曲。

メンバーの歌唱も勢いや力強さだけではない繊細な表現力をみせていて、とても成長を感じます。

特に落ちサビの高松瞳ちゃんのソロの儚くも切ない歌声は聴くたびに泣きそうになってしまいます!

様々な個性を持った複数人のボーカリストが入れ替わり立ち替わりリレーしていく歌割りの楽しさを味わえるのは底抜けに明るくハッピーな『Oh!Darling』でしょう。

ニゾン部分でそんなバラバラな個性の歌声がひとかたまりになったときに生まれる多幸感といったら…。

=LOVEというグループの「チーム感」を凄く感じられて、グループへの愛が深まるような曲だと思いますね。

説得力ある歌割りがもたらす胸に迫るエモーションということでいえば去年リリースのシングル曲『青春サブリミナル』が圧倒的であるっていうのもこのアルバムで改めて感じたりしましたね。 

長々と書いてきました何が一番言いたいかというと、グループアイドルだからこその面白味や醍醐味を存分に味わいたいなら=LOVEのヲタクになろう!ということなのです。

乗り遅れ厳禁! ≠ME『超特急 ≠ME行き』

指原莉乃プロデュースの12人組≠ME(ノットイコールミー、通称ノイミー)
=LOVE姉妹グループとして2019年に結成され、満を持して4月にメジャーデビューしました。
意図したことかは分かりませんが、リリース形態をシングルではなくアルバムにしたことによって、同日リリースのNiziUのシングルとの競合を見事に?避け、オリコンビルボードともにウィークリーチャートの1位を獲得するという幸先良すぎるスタートを見事に決めました。めでたい。
なんというか非常に「持ってるな」という印象ですが、それだけじゃなく、=LOVEと≠MEという「指原莉乃プロデュースグループ物」のファンダムが確実に広がっているというのを凄く実感しますね。まさしく今、乗り遅れ厳禁な状態なのです。

アルバムの内容もそんな今の勢いを感じさせてくれる充実作になっていると思います!

個人的ベストトラックは、ストリングス、ブラスの生音感が鮮やかな、沖井礼二ワークスあたりの渋谷系の香りをほんのりと感じさせる爽やかなポップナンバー『秘密インシデント』でしょうか。メンバーの初々しくも前のめりな歌唱も凄くいい!
終盤の畳み掛けるようなソロパートのリレーがエモーションをぐんぐん高める、高らかにブラス鳴り響く勢い溢れる『「君の音だったんだ」』も好きですね。
二番サビの最後のももきゅんこと櫻井ももちゃんのどこまでも高く突き抜けていきそうなソロと、その櫻井ももちゃんと冨田菜々風ちゃんのラストサビのハモりがもたらす多幸感がたまらない!

あとは、ライブの定番になりそうな、スカのリズムが高揚感を誘うサマーソング『クルクルかき氷』、歌詞にある通りIQゼロな、良い意味で焼けっぱちな馬鹿馬鹿しさが魅力なノイミー盤収録の『てゆーか、みるてんって何?』、あたりの可愛くもコミカルなナンバーも楽しい。
かと思えば欅坂46ミーツK-POPともいうべき本格派ダンスナンバー『P.I.C』なんかもあったりして、その幅広さとかっこよさにはびっくりさせられます。

あとやはり特筆すべきは初回限定盤収録の『自分讃歌』でしょう。

この曲は音楽的にどうこうというより、この曲が発してるメッセージとそれを伝えようとする、ある意味純なパフォーマンスの熱量が、アイドルがこの世に存在する意義というものを感じさせてくれるところが感動的な曲なんですよね。
ももちこと嗣永桃子さんの名言、「歌で人の気持ちを明るくできるようになりたい。きっと人生にくじけてる人が、いっぱいいると思うから」は、アイドルという存在が人々にとってどんな存在であるかを的確に言い表してるし、それを自覚し背負ってプロアイドルになろうとしたももちは本当に凄いんですが、自分讃歌をパフォーマンスする≠MEからも、そのももちの覚悟に似た感情を感じずにはいられないのです。
音源だけでじゃなくパフォーマンス付きで見て聴いた方がこの曲の素晴らしさを断然感じられます!だからこの曲のMVをダンスショットのみで発表したのは本当に正しい!

=LOVEもそうなんですが、≠MEもパフォーマンスの熱量の高さが魅力なグループなんですよね。だからこそ自分讃歌のような曲に説得力を持たせられる。
そしてそれは自分の心をいま完全に掴んでいるのです!

その答えは=LOVE・・・。=LOVE『CAMEO』&『青春"サブリミナル"』


=LOVE(イコールラブ)/ 青春”サブリミナル”【MV full】


=LOVE(イコールラブ)/ CAMEO【MV full】

 

=LOVEに興味を持ったきっかけは某動画サイト(なんとかTube)に上がっていた2019年リリースのシングル曲『ズルいよ ズルいね』のTV番組でのパフォーマンス映像を見たことでした。

違法アップロード動画(笑)なのでここには貼りませんが、切ない失恋ソングを情感たっぷりに、そしてなにより熱量高く歌い上げる生歌パフォーマンスは迫真で胸を打たれる物でした。

正直その動画を見るまで自分の=LOVEに対する認識は、ぱっと見のイメージだけでAKB48の派生グループのひとつ(実際には運営会社もまったく違う別物なのですがそう見えてしまっていた・・・。)という薄ぼんやりした舐め切ったもので、ここまで本格的なパフォーマンスをするグループだと思っていなかったので、その衝撃の度合いはかなり大きかったです。

今でもその動画は見れるので検索して見てみてほしいです。一度削除されて再度アップロードされた物が60万回再生を突破していて、前に上がっていたものも同じくらい回っていたと記憶しているので、のべ100万回は見られていると思います。コメント欄には自分と同じような衝撃うけた人たちの賞賛の言葉が並んでいて、さぞかし新規ファンをもりもり増やしたであろうことが伺い知れます。

そんな風に個人的に=LOVEに対する関心が高まっていた中、2020年にリリースされたシングル2作が素晴らしい出来だったためファンにならざるを得ない状況に・・・。ファンクラブ入会しました!推しメン設定は齋藤なぎさちゃんか大谷映美里ちゃんで迷いましたね・・・。(そんなことはどうでもいい)

 

まず7月にリリースされた『CAMEO』この曲は今まで発表されてきた=LOVEの楽曲の中では一番音楽的に挑戦的で攻めた曲になっています。

中華テイストなシンセフレーズがインパクト大の、音楽的ジャンルで大まかに言えばトラップ(EDM)に部類されるであろうサウンドが刺激的なダンスナンバー。そこにK-POPを思わせるケレンミたっぷりの歌メロが加わることでどこにもないオリジナリティをも獲得しています。絶妙なのはそれまでの=LOVE楽曲との整合性も取れたかわいらしさがちゃんとあることでしょう。ほんとに良い!

プロデューサーのさっしーこと指原莉乃さんは間近で秋元康の仕事ぶり見てきて当然影響は受けていると思いますが、そこに留まらない独自性を打ちだしてるのが素晴らしいですね。こんな曲秋元康なら採用しなさそうだもん。曲選びについて秋元康さっしーを見習ってほしいところですね(笑)

 

そして休養していた高松瞳ちゃんが復帰した11月リリースのシングル『青春"サブリミナル”』は、『CAMEO』から一転して王道の青春キラキラ路線に回帰。

音楽的にこれといった面白味はないオーソドックスな曲。後退した・・・。と言いたいところですがところがどっこい。これが本当に・・・本当に・・・いい!!!

青春の恋の切迫感と焦燥感が圧倒的説得力を持って表現されていて胸を打つのです。

特筆するべきは2コーラス目が終わったあと間奏など挟まずすぐに繰り出されるCメロ。そこでのメンバーの歌唱のリレーによってグングンとエモーションが高まっていくところで涙腺が決壊しそうになる。持っていかれる。

この曲もそうなんですが過去の=LOVEのこの手の路線の楽曲はとにかくメロディーの強度が高いんですよね。切迫感と切実さがきちんとある。直感的に指原Pがそういう曲を選んでいるのでしょうか?しかしちゃんと感動できるのはそれに加えて冒頭に書いた通りメンバーの熱量の高い歌唱、パフォーマンスがあるからこそなのはいうまでもなし。本当に素晴らしい。こういうオーソドックスな曲だからこそメンバーのパフォーマンスが持っている美点が浮き彫りになるということなんじゃないかと思いますね。

 

表題曲だけで十分に満足できるのですが、『CAMEO』のような面白味もほしいという人のためにカップリングにそういう曲ちゃんと用意されてます!

『しゅきぴ』はいい意味での頭の悪い雰囲気が最高でキャッチーな電波系チューン。恋してるときはある意味脳がバグってる状態ともいえるわけで、それならこの曲で表現されてる雰囲気は非常に正しい。

さらにアイドルに物語性を求めている人のために『流星群』という曲も用意されていますよ!

ずっとセンターに立ち続ける高松瞳ちゃんと、彼女が休養している間センターを守っていた齋藤なぎさちゃんのデュエットによる、お互いを思いやるような歌詞が感動的な優しいポップナンバー。ずっと応援してきたファンにはたまらない一曲でしょう。

なんとも至れり尽くせりなパッケージング。いやいや恐れ入りました。

完全降伏!

 

2019年下半期ナイスな日本のアイドルソング、アルバムまとめ

鈴木愛理『i』(アルバム)


鈴木愛理『Break it down』(Music Video)


ハロプロ出身ソロアーティストとしては、過去最大級にポップな存在感を発揮して、着実にアイドルの枠を超えた人気アーティストへの階段を登っていっている印象の愛理ちゃんが待望の2ndアルバムをリリース!
1stアルバムが音楽的に意欲的な曲がずらっと並んだ内容の濃いアルバムだったのに比べると、ロック、バンドサイドの曲が今作はやや弱いかな・・・。という印象もないことはないのですが、いやしかしそれを補って余りある傑作が何曲か納められていて、もうそれでOK!と言える良作になっています!
やはりなんといっても特筆すべきはリードトラックの『Break it down』でしょう!もうこれが本当に素晴らしい!
今をときめくさすがのofficial髭男dismプロデュースのこの曲、ファンクとしての堂々たるかっこよさと強度の高さを見せつつも、万人に受けるポップさも同時にあるというなんとも凄い曲で聴いているときの多幸感が半端ない!
愛理ちゃんがこういう曲を、髭男プロデュースを引き寄せたということ自体が、彼女が時代に選ばれるべき器だということを証明しているような気もしてそこにワクワクもさせられるのです!
いやぁもう降参!
その他収録曲では本格派な生演奏ジャズでもって強い女感をかっこよく演出する『Dissolution』、地を這うようなヘビーなベースが攻撃的なムードを加速させるラテン風ダンスナンバーの先行シングル『Escape』、別れた彼氏へのたちきれぬ想いを抱えたまま新しい彼氏を作った女子の複雑な心境を描いた歌詞が切ないバラード『別の人の彼女になったよ』あたりが素晴らしいです!


・桜エビ~ず『octave』(アルバム)


桜エビ〜ず「ねぇ、ローファー。」@ 新宿LOFT -New Album「octave」(8/21 release)-


楽曲派アイドルファンにはもうすでにその地位を完全に認められている、スターダストプラネット所属の桜エビ~ずの2ndアルバムが捨て曲なしの傑作でした!
UKロックを音楽的な基盤にしつつ、そこに青春の儚さや、思春期女子の繊細さと無邪気なかわいらしさを落とし込んだような、なんともいえない愛らしさに溢れた世界観が魅力な楽曲が多いのですが、それが本当に良い!
マンチェスターロック風味の『帰れない!』繊細かつかわいらしい音使いのシンセとボーカルに掛けられたリバーブが儚さと切なさを演出する『214』、グルーヴ感バッチリのファンキーなギターカッティングの気持ちよさと歌メロの切なさが相性抜群に同居する『灼熱とアイスクリーム』、ONIGAWARAプロデュースのおしゃれかわいいディスコ『それは月曜日の9時のように』と好きな曲を挙げていったらキリがないくらいどの曲も素晴らしいのですが、個人的に一番グッときたのは、『グラジェネ』→『ねぇ、ローファー。』の流れですかね。
この2曲の流れに、10代女子、アイドルたちの一瞬しかない、そしていつか失われていくであろう儚い輝きというものに対する切なさを否応なしに感じてしまうのは僕だけでしょうか。『ねぇ、ローファー。』は落涙しちゃいます。
あとこのアルバムには収録されてないのですが、配信限定でリリースされた『Can't go back summer』も素晴らしいのです!


ここからは駆け足で!


nuanceがニューアルバムを『botan』リリース!今作も力作でした!
決意表明的な歌詞がいつになく力強い『I Know power』にハッとさせられつつ、やはり特筆すべきはジャジーなトラックにケレンミたっぷりのラップを乗せた『ハーバームーン』でしょう!都会的でありながらやはり普通ではないファニーな世界観にやられちゃいます!最高!

【nuance】12月18日発売 5th minialbum「botän」トレーラー



みんな大好き俺たちの小山リーナ率いるマジカルパンチラインのシングル『もう一度

シンガロングなロックナンバーの表題曲もいいですが、カップリングのおしゃれかわいいディスコ『これから、私!』が良曲でした!プロデュースはONIGAWARA。さすがです!

マジカル・パンチライン「もう一度」【MUSIC VIDEO】



開歌のアルバム『開歌-かいか-のMUSIC』も素晴らしかったです!全編タカハシヒョウリとサクライケンタによるプロデュース。間違いないです。
なによりメンバーの歌のハーモニーを大切にするグループのコンセプトは好感しかありません。
個人的ベストトラックは『かいかのMUSIC』でしょうか。ミニマムなトラックに乗せて独特な譜割りのメロディと歌がゴスペル的に熱を次第に帯びていく雰囲気が本当にかっこいい!

「かいかのMUSIC」Official Audio(2019.9.8 定期公演「歌の咲く青山」九月 ライブ映像)開歌-かいか-



ディアステージ出身のCYNHNの『2時のパレード』
レディオヘッド以降の繊細なUKロックを彷彿させる音楽的アプローチをしていて、これまでのBiSHフォロワー的なところから脱して独自性を出せていて良いです!
カップリングの『解けない界面論』も音楽的にかなり意欲的で素晴らしい!

CYNHN(スウィーニー)「2時のパレード」Music Video



指原莉乃プロデュースの、=LOVEのニューシングル『ズルいよ ズルいね』が切なくて切なくて良いです!さっしーの作詞家としてのセンスなかなかですよね!
カップリングのおしゃかわハウス『Sweetest girl』もいいです!

=LOVE(イコールラブ) /「ズルいよ ズルいね」【MV full】




最後はハロプロ期待の新人BEYOOOOONDSの1stアルバム『BEYOOOOONDS1st』なかなかの力作だと思います!
やはりなんといってもデビュー曲『眼鏡の男の子』は素晴らしいですね!ギミックの面白さと音楽的なクオリティの高さが並びたった稀有な曲だと思います!2019年のハロプロを代表する曲では?
それに引っ張られるように、その他アルバム収録曲の中で個人的に魅力に感じるのは『恋のおスウィング』、『元年バンジージャンプ』といった『眼鏡の男の子』のスピンオフ的な楽曲たちですね。
やはり『眼鏡の男の子』でメンバーそれぞれに与えられた役が、的確にそれぞれのメンバーの魅力をきちんと引き出せていたことが大きいのかなと。
あと雨ノ森 川海メンバーの憑依型パフォーマーとしての素質を引き出した、思春期の痛みと情念を描いたデジタルなロックナンバー『GIRLS ZONE』も好きです。

BEYOOOOONDS『眼鏡の男の子』(BEYOOOOONDS [The boy with the glasses.])(Promotion Edit)

女の子が最高に面白くなるのはこっからじゃん? こぶしファクトリー『辛夷第二幕』

もはやこぶしファクトリーに対して「困難な状況から這い上がる」的なストーリー性を使って何かを語るのはもはや不要だし野暮だと断言できるくらい、ただ純粋にグループの魅力がひたすら溢れかえった充実作というのが『辛夷第二幕』を聴いての感想です。
もちろん辛い状況を思い出さずにいられない曲もありますし、今の充実ぶりもそういうことを背負った上でのものではありますけどね。

今回のアルバムはやはり5人体制になってから目指してきたグループの方向性を実現するために積み重ねてきた事のとりあえずの集大成的な意味合いもあるのですが、それと同時に、その確立してきた「形」みたいなのものが、アイドルグループがもうひとつ先にステップを進める段階として、幅広くアイドルファン以外の層へと存在感を広げていくために必要な強度がきちんと備わっていることを実感させてくれます。

そこを一番に感じるのは実質のラスト曲『明日の私は今日より綺麗』でしょう。この曲の美しく、豊かな味わいに満ちた感動的なメンバー5人のハーモニーは、文脈などまったく理解していないような人たちさえも感動させられるような普遍的なパワーに満ちていると思うのです。本当に素晴らしい。
『開き直っちゃえ!』『亀になれ!』『ドカンと!BREAK』の、抜けの良い爽快な雰囲気のロックサウンド、歌詞のメッセージ性、それに説得力を持たせるメンバーの力強い歌唱も、幅広い人に届いていくであろうポップスとしての性能の高さをビンビンに感じます。
このあたりの曲は、縦ノリのロックサウンドにきれいなハモり歌唱が乗るというこぶしファクトリーでしか味わえない楽曲になっていて、きっとアイドルファン以外のロックリスナー、音楽ファンにも新鮮に聴いてもらえるんじゃないかなぁって思ってます!

前述以外のアルバム初収録新曲どれも良くて捨て曲なしなのですが、その中で大人になったこぶしファクトリーがこれからどんな楽曲をやるべきか。ということについてひとつの選択肢、可能性を見せた楽曲が『Come with me』で、この曲が個人的な一番の推し曲です!
ジャジーでおしゃれな雰囲気を持ちながら、サビは勢いのある2ビートでアップテンポに攻め立てたり、「ついてこいよー!」という力強い5人の歌唱でラストを暑苦しさ全開で締め括ったりと、こぶしファクトリーらしさを保ちながら、大人っぽい、今までとは一味違う魅力を見せることに成功した意義ある曲で、とにかくかっこいい!
歌詞も最高です。【一瞬で私は変わってく 目を離さないで 今日の私を見て 納得しないで】【女の子が最高に面白くなるのは こっからじゃん?】
こぶしファクトリーにもまだまだ先があるし、これからまだまだ進化するし、面白くなるよ。ということを示しつつ、どうしてもフレッシュで目新しい所に目がいきがちなアイドルファンに対して、いやいやキャリアを重ねていくアイドルも魅力的でしょ?というメッセージを曲の雰囲気と相まって感じたりも出来ます。
いやはやこんな最高な曲を聴けば、これからもちゃんとついていきますよ!という気分になっちゃいますよね。こういう曲をバリバリやれるグループになれたら本当にかっこいいですからね!これからもこぶしから目が離せません!

最後に初回限定版Bについてくるアカペラ集についてもふれておきましょう。
これも本当に聞き応えたっぷりで最高です。構成が複雑な曲が多くてそこが凄くエンターテイメントしてて素晴らしい!
しかし最終的にすべて持っていくのは和田桜子ちゃんによる『サンバ!こぶしジャネイロ 2019』でのサンバホイッスルでしょう!初めて聞いたときに爆笑させていただきました!
どんなだったかはとにかく聴いてほしいのですが、本格派なアカペラともなれば、アイドルを超えた!とか言われがちですが、ちゃんとアイドルらしい、アイドルだからこその 「仕掛け」が用意されているのが嬉しい限りです!
こぶしファクトリー最高!




2019年上半期ナイスな日本のアイドルソング、アルバムまとめ

DEVIL NO ID『Devillmatic』(アルバム)

 

アイドルだからと手加減することないゴリゴリの本格派エレクトロサウンドの楽曲をデビュー以来ずっとぶれずにリリースしてきたDEVIL NO IDがついにフルアルバムをリリース!
これが期待通りの傑作でした!
上田剛士プロデュースのリードトラック『サバイバー』がハードコア感とポップ感が両立する、まんまの上田剛士サウンドなのですが、これがアイドルによく合うこと!
その他、不気味で不穏なトラックに乗せて【朝から晩まで勉強勉強】というフレーズを呪文、念仏のように繰り返す、攻めに攻めた怪曲『ジェネレーション反抗期』、神秘的な夜を表現したかのような美メロトランス『うしみつどき』、トロピカルなサウンドに沖縄出身グループらしく三線の音が絡む、ゆったりとしつつ壮大さを感じさせる『ユートピア』などがいいですね。

攻撃的だけじゃなく繊細さを見せてくれる中盤から終盤の展開にはハッとさせられました。
しかし個人的に一番グッときたのは、フレンチエレクトロ風なサウンドのディスコナンバー『PLAY GROUND』ですかね!
10代のメンバーだからこそ説得力を持って表現できる青臭い青春感、切迫感に溢れていて胸が熱くなります!本当に好きな曲です!

 

・ONE PIXCEL『Final Call』(シングル)

 

前作の『Girls Don't Cry』に続いて強い女感を全面に押し出した「かっこいい」ワンピクを表現したニューシングル。
今回もリミックス含めどの曲も抜かりなく強度の高い良作でした!
タイトル曲『Final Call』は意表をつくジャズファンクナンバー!いやしかしこれが本当にかっこいい!Red Velvetの『RBB』との同時代性みたいなものを少し感じたり…。
カップリングは『Girls Don't Cry』の流れを汲んだ歌モノEDMナンバー『Slow Motion』これも素晴らしいですね!
世界標準のエレクトロサウンドに、K-POPを思い起こせるタイミングで挿入されるラップ、J-POPらしいサビらしいサビを含む歌メロと曲構成。それらが違和感なく融合していて、「2019年のJ-POP」として理想的な形みたいなものを見せてもらったような気がします。さらにファンとしては、ラップやフェイクといったここぞ!というパートをそれぞれのメンバーがそれぞれに役割分担されてる雰囲気が、ワンピクのチーム感みたいなものを感じられて嬉しいところです!

 

predia『NAKED』(シングル)

6人体制になってからの初のシングル。
タイトル曲『NAKED』は人数が減ってパワーダウンするどころか、むしろさらに勢いと鋭さを増したかのような疾走感溢れる力強い雰囲気のナンバーで本当にかっこいい!それでいてprediaらしい歌謡感と大人な雰囲気もちゃんとあったりして。勢いのあるテンポの早い曲をやるアイドルはたくさんいますがprediaの楽曲でしか味わえない確かな雰囲気もきちんとあるのです!
カップリングの『花鳥風月-All beauty-』は壮大で優雅な雰囲気の和風ダンスナンバー。これもprediaでしか味わえないテイスト!
さらにもうひとつの『One More Starting』
はがらっと雰囲気が変わって洗練されたおしゃれなディスコナンバー。背中を押してくれるような、prediaが自分たち自身を鼓舞するかのようなポジティブな雰囲気に溢れていて良いですね!

 

ここからはちょっと早足で上半期に良いと思った曲たちを紹介。

みるきーこと渡辺美優紀ちゃんソロ作、つんく♂プロデュースの初期松浦亜弥を彷彿とさせる『夕暮れセンチメンタル』と開放的な雰囲気なサマーポップ『Cheek-tic-Cheek』が素晴らしい。貴重な王道ソロアイドル枠として頑張ってます!

 

王道ソロアイドル枠といえば、ちょっと変化球なアプローチですが頑張ってる、ゆっふぃーこと寺島由芙の『いい女をよろしく』も良い!おしゃれポップスとディスコテイストの昭和歌謡が融合し、さらに間奏ではサンバに展開するという曲構成が面白い!ウィスパー気味の歌唱も良い!
カップリングの『Last Cinderella』もオシャレで最高です。

 

Mellow Mellowのニューシングル『Dear my star』が捨て曲なしの傑作でした。ダフト・パンクを彷彿させるシンセリフで始まるアーバンなハウスナンバーのタイトル曲も良いですが、ぐっと渋く大人な雰囲気を見せた90年代R&Bテイストのカップリング曲『Hit Me Love』が最高です!メンバーの歌声もこういう曲のほうがより魅力が引き立つような…。

 

横浜のローカルアイドルnuanceのアルバム『town』も新鮮で良かったです!
ジャズ、フュージョンを下敷きにしつつ普通に収まらない独特な雰囲気な曲に、乃木坂46的なユニゾン歌唱が乗ったような雰囲気というか。オリジナリティ溢れすぎ!中でも『tomodachi』と『cosmo』の2曲が素晴らしい!アルバムにも収録されている先行シングル『タイムマジックロンリー』の動画を貼っておきます。

 

最後にハロプロ関連にも触れておきましょうかね。
まず、こぶしファクトリーハルウララ』と
Juice=Juiceの『微炭酸』の切なさがとても良いですね。特にハルウララは何度聴いても泣きそうになります!
アンジュルムのアルバム『輪廻転生』。アーバンなハウス『いとし いとしと Say My Heart』→ずっしりと重厚な雰囲気がかっこいい『もう一歩』→ヒャダインのケレンミが炸裂している『人生、すなわちパンタレイ』という中盤の流れがなかなか聞き応えあって良かったです!
モーニング娘。の『青春Night』も好きですね。
しかしやはりなんと言ってもPINK CRES.の『トーキョーコンフュージョン』 じゃないですかね!

世界各国の民族音楽を取り込んだ、雑多な要素てんこ盛りなエレクトロサウンドがカオスな怪曲。これが良い味を出してて最高です!ちょっと初期森高の2019年版的なアップフロント的系譜も少し感じたりしました。今までのPINK CRES.のイメージを裏切るような形で戸惑う所もあるにはありますが、しかしこれくらい振り切った攻めの姿勢見せられたらひれ伏すしかないと言うか…。いやはや恐れいりました!ハロプロ本体だけじゃなくピンクレも盛り上がってほしい!